仙台市青葉区定義・門前喫茶Norahでのライヴが終了した。このシリーズライヴも早5回目。今回はトリオにスペシャルゲストを迎える形で、久しぶりにバンドで歌ものも演奏した。
あなたとNorahと音楽と#5
2018年11月23日(金)
門前喫茶Norah
Drums:及川文和
Bass:田村滋
Keyboards:服部暁典
Guest Vocal:大江田真理
Set List
1.Azure
2.やさしい風
3.Fall,Rain Fall
4.琥珀
5.The Chiken
with vocal
6.風の通り道
7.The Rose
8.浜辺の歌
encore
Beauty and The Beast
前半4曲は服部のオリジナルばかり。で、後半は「誰でも知ってる」的な曲という2部構成。
オリジナル曲は服部の頭の中で鳴っている妄想のアレンジを如何に実音化するかという作業。妄想さえたくましくしていれば説明は容易く、また及川・田村の両名の技量を以てすれば実音化はそう難しいことではない。後半の既成曲をどう料理するかということの方が挑戦しがいがあった。
そう、つまり今回はオリジナル曲の再解釈と既成曲解釈の跳躍に挑戦するライヴだったと言える。某有名テレビシリーズの5/4拍子リフを無理やりくっつけた5.も楽しかったが、真理さんを迎えた歌ものはメンバー全員であれこれアイデアを注ぐ作業になった。こういうのも久しぶりだ。頭の中の引き出しをあれこれ探る過程を楽しめた。同時に演奏回数を重ねることでバンドがバンドらしくなってきたということでもあろう。
個人的に良かったと思うのは、ゆっくりな曲でスペース多めにバンドがプレイできるようになってきたことだ。はっきり言って及川のドラムは年々懐が深くなっていくように思う。音と音の隙間が段々広がっていってないか?生まれたスペースを活かすという観点では感心してばかりもいられないのだが。そしてそこに田村のフレットレスベースが堅実なラインで加わると、なんか、もうそれでいいじゃんという気になってくる。今回だと4.や7.が弾きがいがあった。
「弾きがい」という意味では、歌ものの伴奏も自分としては久しぶりの挑戦だった。某音大で声楽や楽器を学んできた真理さんの音楽基礎力はべらぼうに高い。だがそんな真理さんでもバンドのヴォーカルという立場は初めてということで、ずいぶん勝手違いの戸惑いを覚えたという。楽器側主体で選曲していったにも関わらず、どんなオーダーにも果敢に挑戦し、クリアしてくれた真理さんにはバンドも助けられた。
8.を6/8拍子でちゃかちゃか演るのも、enc.をラテンフレイバーで演るのも及川のアイデア。拙い私は図らずもアイデアと技量の棚卸しのようになってしまった。精進が必要である。
これまでになく既成曲、それも「誰でも知ってる曲」を増やしたのにはもちろんわけがある。詳しく書けば会場の門前喫茶Norahの成り立ちや、Norahでライヴを行う意義みたいなところにまで足を踏み入れてしまうので割愛するが、簡単に書けば「カフェで生演奏を聴くなんて緊張しちゃう!」というお客様でも楽しめる取っ掛かりみたいなものを増やしたいと思ったからだ。真理さんに歌ってもらったのも「インストばかりじゃなく歌が入っている方が…」という視点からだ。演奏者と地域を結ぶ立場のNorahご主人夫妻からも「みんなが知っている曲もあったほうが…」という意味の言葉をいただいていた。
「自分のやりたい曲だけ演奏すること」が演奏者のエゴなのかどうか、有名な既成曲ばかりを演奏することは「聴衆におもねることなのか」というジレンマは常にある。それは演奏メンバーやその時客席に座っている聴衆にも拠るので、明確に引けるラインはない。ライヴを終えた今の正直な気持ちとしては、既成曲の比率を高めても良いのかもしれないと思う。
冒頭に書いたようにこの「あなたとNorahと音楽と」というシリーズライヴはこの夜で5回目なのだが、おそらくお客様の入りが一番良かったのではないか。しかもお子様連れのファミリーがすごく多くて、そのこともとても嬉しかった。幼児ばかりでなく高校生の姿も。これから音楽を真剣に聴きたい・演奏したいと思っている世代に聞いてもらえることは嬉しいし、ある意味で責任を感じもする。ぜひ懲りずにまた足をお運びいただきたい。
会場・門前喫茶Norahご主人夫妻とスタッフの方々にも大変お世話になった。お客様とスタッフ、メンバーと真理さんに感謝いたします。またやりましょう。
L to R 田村滋(Bs)、服部暁典(Key)、大江田真理(Vo)、及川文和(Dr)
田村の後ろに隠れているのはご令嬢