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聴くこと・聴こえること

キーボードアンプRoland KC-220の現場投入レポート

ライヴ演奏中のモニタリング環境改善のために導入したRoland KC-220。2018年11月23日(金)門前喫茶Norahでのライヴで早速投入してみた。その結果や如何に。

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ライヴの詳細は既報のとおり。会場のNorahは店内の造りがシンプルで、会場設営も比較的楽だ。しかし天井高がそこそこ(3mを超えるだろう)あり、文字通り箱のような形の中で演奏することになる。ごく大ざっぱに言うと、Norah店内ではステージとして設定する場所によってはバンドの出す音の拡散が早く(聴衆には良いことだけど)、お互いの音を聴き取ることが難しい。

普段はメインのキーボードアンプRoland KC-300を自分の演奏に支障のない範囲でなるべく遠くに置く。バンド全体へのモニターを兼用させる心積もりである。だが現実には自分で自分の音を聴く必要があるからそんなに離して設置できるわけでもない。そこでKC-220である。自分専用のモニターを確保し、KC-300をヴォーカル拡声とバンド用モニターと聴衆用に専念させてみた。

で、KC-220を使ってみてどうだったか。まずモニターとしての音量はちゃんと稼げた。奏者右側に床置きしただけだが、例の本体のアングルスタンドが良い仕事をしてくれて、程よく耳を狙う角度も付いた。今回の配線はこうなる。要はKC-220だ。まず今回演奏に使ったYAMAHA S90XSとKORG MS-2000はそれぞれステレオでインプット。ヴォーカルとMCの2本のマイクはMACKIE. 1402-VLZというコンパクトミキサーにまとめた上でインプット。で、KC-220のラインアウト(MONO)をKC-300に渡す。

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もちろん常道としては楽器もマイクも1402にまとめてしまい、その上で2台のKCにパラレルで出力するのが良いだろう。今回はKC同士のラインアウト/インの受け渡しがどれくらい便利か、音質的に影響があるのかないのか試してみたかったのだ。その意味ではまったく問題がなかった。便利だし音質劣化もない。KC-300の真正面に立つヴォーカルのハウリングを防ぐためにKC-300の高域を絞ったほどだ。

もうひとつ1402にまとめる利点が発覚もした。KC-220の各インプット定格-10dB疑惑である。楽器側のボリュームを最大で入力すると、早々にオーバーロードしてビリビリ言い始めるので驚いた。インプットツマミを時計の針読みすれば10時くらいでビリつき始めるのだ。何かヘマをやってスピーカーユニットそのものを飛ばしてしまったのかと焦ったが、調べたら回路で歪んでいるのだった。とほほ。そんなわけで楽器側は腹6分目くらいで出力し、KC-220のインプットを繊細な操作でバランスを取ることになった。

もっともS90XSもMS-2000も取扱説明書に出力(-10dB/+4dB)に関しての記載はない(笑)。どっちもどっちである。

ともあれKC-220の導入によって自分の演奏を聴くことがこの上なく楽になった。もはやKC-220無しではライヴをやりたくないほどだ。それはめでたいのだが、ついつい自分の音ばかりボリュームを上げてしまったのはよろしくない。モニターバランスが自分5:ベース3:ドラム2くらいになってしまい、ドラムの音を聴くのに苦労してしまった。単に音量バランスだけではなく会場の「鳴り」にも影響を受けたかもしれない。特にドラムのアタックが聴きづらかった。聴くことは万全だった。しかし聴こえることに関してはまだまだ整える技術が必要だ。