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鍵盤ジェダイ呑み#4「始末と不始末」

あるいはローカルな同業界隈が共通で抱える負の側面について

· 音楽雑感

ほぼ年に1度のペースで集まって酒を飲む会がある。北田了一さん、阪下肇之さん、GON高橋さんに私を加えた4名。私以外は凄腕の音楽家、取り分け鍵盤楽器をメインに創作・表現されるので「鍵盤ジェダイ呑み」と称している。

この呑み会が始まった経緯やこれまでの特濃な内容については上記リンクをご覧いただきたい。2回目「飯島真理初期3部作徹底解剖」、3回目「各自秘蔵のモニタースピーカー(とアンプ)聴き比べ」が特濃過ぎた反動で、今回はなかなかテーマが決まらなかったのだが、それならいっそただ飲み食いしようや!と誰が言い出したか忘れてしまったが、2019年7月、例によって岩手県盛岡市のBluesky Field Studioを会場に灼熱の宴がスタートした。いっしょに呑んで楽しいだけではない、知識のひけらかし合戦でもない。意見交換の場であり勉強の場であり、ガス抜きの場なのである。

イナちゃん飯店(岩手県盛岡市東中野町14-1)の不思議な唐揚げ。

なぜ不思議かというと…

満腹なのになぜか次から次と食べたくなってしまう。

何か入ってるに違いない…

このキュウリの漬物もやばい。

阪下さんのご母堂作の逸品

どんな分野でもそうだと思うが、経験の長いベテランが集まると褒める話題にさして時間はかからない。良いものには確たる理由があるし、ある程度の知識や経験があればそれはすぐわかる。だから「あれはいいよね」「あれは良かったよね」で通じ合って会話は終了してしまう。しかもDJ歴すらある阪下さんのお膝元、今回も会話に出てくる音源が「タナツカ(棚からひと掴み)」状態でたちまち登場。その半分くらいはヴァイナル=LPレコードですよ。やっぱりちゃんとしたシステムでアナログ盤を聴くといいのよ、ホント(笑)。「●●のあれは良かったよねー」「あ!それ、▲▲のパクリでしょ?」「それを言っちゃあお終ぇよ」と笑っていると、阪下さんがすかさず●●と▲▲の音源を棚から持ってくる。それを酒を飲みながら大音量で聴くのだ。至福である。

同時に経験の長いベテランが集まると、困った人の話題にも事欠かない(笑)。なんであの人ぁあーなのかね?的な話なので、詳細を書くわけにはもちろんいかない。が、当夜我々の口に上がった困った人たちを総論すれば、つまり「始末の悪い人」なのだった。始末の悪い人の不始末ばなし。「以て他山の石と成す」である。

地元を拠点に長く活動されている北田さんと阪下さんは、長く活動されているがゆえの不自由さも感じておられた。しかし「困った人の不始末」に振り回される「始末の良い人の苦労話」は、別に岩手に特有の事情ではないだろう。日本全国、おそらく世界中のローカル音楽家界隈に共通の事象だと私は思う。誰と誰の仲が悪いレベルの話からその土地土地に蔓延する悪習慣まで、音楽だからそれは発生するのではなく、「人の営み」に不可避で発生する軋轢なのではないか。音楽を初めとした芸術・表現行為が人の営みに根ざしたものであればこそ、どうしたってそれは発生してしまう。

こんなことを書いている私だって人からどう思われているかわかったもんじゃない。服部の不始末のせいで迷惑をかけてしまった方がいれば、それは今後の行いで償うしかない。

それにしても、このメンバーは言葉通りの「リアルミュージシャン/リアルエンジニア/リアルクリエイター」であることだなぁ。少し前のエントリーで「テクニックなしに情熱は表現できず、情熱なしのテクニックは空しい」という意味のことを書いた。そのエントリーの中で私はこう書いている。

私が尊敬する演奏家・作曲家の人たちの言動の端々からは「パッションは持ってて当然!」ということが伝わってくる。だからそういう人と会って話をするだけで励みになるし、いっしょに音を出してみれば「おまえはどうだ?」と問いかけられているようにも思う。

当夜はまさにこの気持ちだった。北田さん、阪下さん、GONさんはベテランの音楽家である。それは間違いない。なのにこのピュアさはどうなのよ、と感動してばかりいた。いくつになっても瞳は少年。尽きぬ情熱に突き動かされている人たちなのだ。これまでは飲み食いと意見交換が忙しく、目の前の貴重な阪下シンセコレクションの音を出すことはなかったのだが、とうとう当夜は一線を超えてしまい、深夜に大セッション大会になってしまった。私は北田さんのローヅに合わせてYAMAHA CS-01をピロピロ弾きながら、私はやはり「おまえはどうだ?理屈が支えるに足る情熱があるのか??」と北田さんに問われているように思いながら弾いていた。本当に楽しい瞬間に、自らを追いつめるための負の要素を探し出すのは私の良くないクセである。このフェンダー・ローヅスーツケース73は、大御所のツアー時に現地楽器としてレンタルを乞われる程のグッドコンディション。それを北田さんがゴリゴリ弾きまくるのに合わせてCS-01で合いの手を入れる…。至福中の至福なのにねぇ。

帰りの足の都合でGONさんは日付変更前に離脱したが、残った3人は25:30過ぎまで。私以外の3人は本当に良く呑みますね(笑)。そして鍵盤ジェダイ呑みの話題は本当に尽きない。次回がいつなのか誰も知らないが、我々はまた集まるだろう。北田さん、阪下さん、GONさん、ありがとうございました。

L to R 阪下さん、私、GONさん、北田さん

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