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あるセッション

いくつかの脳内プロジェクトが収斂するドキュメンタリー

· 音楽制作

dj korterとインプロビゼーションセッションを行った。久しぶりのセッションがようやく実現した。korterはノイズ、アンビエント、環境音などを扱うターンテーブルアーティストで、クラブDJとは異なり、様々なアーティストと共演を続けている。ここ数年は秋に個展も実施する活躍ぶり。

作風に共通点のない服部とkorterではあるが、むしろそこが良かったのかもしれない。実はこれまで何度かふたりで作品を作ってきた。初めてのお手合わせは遡ること8年前。仙台の劇団Theatre Group OCT/PASSの「方丈の海(2013)」の劇伴である。ふたりのインプロビゼーションセッションを服部が解体・再構築するという手法だった。その次は今年の話で、某SNSに双方がアップし続けていた「空」の画像を主題に、同時に音を出すことはせず、いくつかフレーズの素材を服部が作り、korterがそれを素材に曲を構築した。

「SORA」/ DJ KORTER & akinori hattori

普段は12音階と調性に深く根ざした領域で音楽制作に血道をあげている私ではあるが、「方丈の海」劇伴と「SORA」で得た手応えは、これまで錨のように私の脳に根を張っていた音階や構成といった言わば安全領域から、一歩足を踏み出すきっかけになるという実感があった。

そして2020年のある日。テキストとミーティングを重ね、再びふたりでセッションしてみることになった。これにはふたつの企みを実現できるかどうかのショーケース的な意味があったのだが、実際に音を出してみればとても楽しく、また手応え充分なセッションとなった。

このセッションの背景にあるふたつの企みと、この日のセッションを経て産声をあげつつある新しいプロジェクトについて、次回のエントリーで書いてみようと思う。
(文中敬称略)