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Mac mini(M1,2020)導入記2021・オーディオインターフェイス編

Macを刷新するならオーディオインターフェイスもね!と言いたいところだが……

· 機材

音楽制作用MacをMac Mini(M1,2020)へ刷新した。Mac mini選定までの経緯は以下をお読みいただきたい。

コンピュータを使った音楽環境では、CPU本体と同様にオーディオインターフェイスも重要である。曉スタジオでは戦艦がMetricHalo Mobile I/O 2882、巡洋艦がSSL 2+である。巡洋艦はUSB接続だからあまり深く考えなくて良いが、問題は2882で、接続規格がFireWire400なのだ。環境刷新が遅れたのはこのFW400に足を引っ張られたからとも言える。当然これまでにも新オーディオインターフェイスの導入は検討してきた。だが接続規格のアップデートが頻繁で、Mac同様これもタイミングを読むのが難しかった。廉価製品(USB2.0)とセミプロ級製品(Thunderbolt3/USB Type-C)に両極化して落ち着いたのはここ数年のことではないか。もっとも落ち着いたらセミプロ級製品の価格レンジは20-30万円台が中心となり、コンピュータ本体と同じか、それより高価であるというジレンマに陥ることになった(選択は楽になったけど)。2882と同等か、さらに良いものを導入しようとすると、以前よりも高価な買い物になってしまう。そこで刷新するのではなく、既存のものを改造することで解決しようと試みた。今回はこのオーディオインターフェイスのアップデートについて詳述する。

さて今回、改めてオーディオインターフェイスについて求める諸条件を整理してみた。

・最低でも4ch以上のマイクプリアンプ

・8ch以上のアナログ入出力

・デジタルマルチ入出力

これらは2882の主なスペックで、曉スタジオの必要最低限なスペックと考える。これに加えてThunderbolt3接続を必須条件に加えると、有名どころのあれやこれやが選択肢に多数上がってくる。スタジオクオリティ音質を謳うものや、大量のプラグインエフェクトなどが付加されるなど、当然どれも魅力的なのだが、オーバースペックだったり不必要なプラグインも価格に含まれるように思えて決定打に欠ける。考えれば考えるほど、現在使っている2882が身の丈にあっているように思えてくる。念のために書いておくが2001年に販売が開始された2882は、まだ現役で使える音質だと判断している(曉スタジオには2012年導入)。解像度だけは昨今の同価格帯の製品に比べれば粗いと思うが、音質的な演出がないことは好ましいし、ある意味で貴重だ。導入当初は自分の音楽よりも、例えばクラシックなど、生楽器が主体の音楽に向いているのではないかと思ったほど、それは透明だ。一方で意図的に音質を変えることもまた簡単で、コントロールソフトウェア側の純正プラグインで、アナログシミュレートなどの味付けが自由自在である。唯一の弱点が「接続はFireWire400」ということで、Mac Pro2012導入以降は、800を400へダウンコンバートするアダプタなどを使って、かろうじて接続できていた。

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よくよく考えると、この2882を「Thunderbolt3非対応だから」という理由だけで引退させるのはもったいない。何より耳に馴染んでいるので、特にミックスダウン作業は速いし信頼できる。2882をキャリーオーバーできるなら費用も最低限に抑えられる。変換に次ぐ変換、Thunderbolt3 to Thunderbolt2 to FireWire800 to FireWire400などというプランも検討してみたが、安定性が不安だし、せっかくの高速通信規格をわざわざ先細りさせて使うのも馬鹿げている。

実はMetric Haloは発売済の過去全製品にThunderbolt3対応のインターフェイスカードをリリースしており、その点はこれで解決できる。またこのカードのインストールによってデジタルオーディオ解像度を24bit/192kHzにアップデートできる(インストール前はアナログ/デジタルとも24bit/96kHzが上限)。当スタジオの2882は最初期製品で、インターフェイスカードをインストールするには筐体を改造する必要があるが、この点も(工賃さえ払えば)日本国内代理店の(株)メディアインテグレーションが作業してくれる。

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このインターフェイスカードが63,400円、工賃が20,000円、消費税も含めれば総額91,740円となる。これが高いか安いかは主観によるが、少なくとも不満不足のないオーディオインターフェイスが10万円未満で導入できると考えれば、許容範囲と考えた。

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3d cardインストールのオプションとしてこれらケーブルが同梱されていた。曉スタジオのMH製品は1台だけなので、MH Linkの恩恵には当分あずかれそうもない

8月24日(火)に仙台から発送し、同月28日(土)に投函完了通知着。メディアインテグレーションからの受領通知は同月31日(火)。改造作業終了後、曉スタジオに到着したのは9月8日(水)だった。この流通の遅延は、パラリンピックTOKYO2020開催による都内交通渋滞が原因と思われる。15日も2882がいない日々は初めてだったのではないか。滅多にないことなので敢えて書いておく。

刷新計画の主要な点は以上のとおりだが、様々な周辺機器の接続にはやや頭をひねる必要があった。次回はMac miniゆえに計画性が必要となる周辺機材について書く。