Apple純正のDAW(と書くには抵抗感があるが…)、Logic Pro Xをとうとう導入した。これまで暁スタジオのDAW環境はMac OS 10.8.5.+Logic Pro9だった。これはこれで安定した動作だった。ガラパゴス状態を維持できるならばあと1〜2年は使い続けることができたと思うが、主にプラグイン導入にあたっての通信環境の劣化が著しかった。具体的にはプラグインブランドの大手、waves.comのウェブサイトを、すでにブラウザsafariで表示できないのだ。アップデートはしないと割り切れるとしても、メンテナンスはおろか新規購入も怪しくなってきた(画面のどこをクリックすればいいのかわからないのだ)。これはもう環境を上げるしかない。
今のところ暁スタジオの最新システムは10.11.6_El Capitanである。このEl CapitanとLogic Pro9のコンビがピンポイントでよろしくないのは、暁スタジオだけではないようだ。細かな動作不良が起こる。AppleとしてはEl Capitanリリースの段階で「さっさとLogicもXに上げろ」だろう。そのXはXで、リリース直後は重いしフリーズ頻発だしみたいなことになっていたが、数度のマイナーアップデートで解決したらしい。しかも音質的解像度の向上、GUIの洗練、プラグイン音源やエフェクトのさらなる充実など、順当に考えてアップデートしない理由がなくなった。これから不定期に導入記と称してインプレッションを書こうと思うが、もはや評価も定まったDAWであるゆえ操作性の検証やオススメポイント的なことは書かない。暁スタジオという個人のプリプロダクションスタジオでの使い勝手にフォーカスして書くことになると思う。まずはダウンロード後の第一印象までを書いてみよう。
暁スタジオのインターネット環境はNTTの光通信回線にギガビット対応のルーターなど、激速ではないものの一般最低限の機械的環境は備えている。が、通信トラフィックが深夜帯はひどく遅くなる。22時も過ぎた頃からどんどん遅くなるのだ。そこで朝8時くらいからダウンロードを始めてみた(Logic ProXはAppleのApp Store.appでのダウンロード販売のみである)。昼過ぎには本体のダウンロードが終わったが、さっそく起動してみたら追加コンテンツのダウンロードが始まった。これはつまりループやサンプラー用の素材と思われるが、こいつが23GBくらいあり、結局ダウンロード終了までに一晩かかってしまった。
導入直後の感想
○9時代のプロジェクトはそのままでは開けない
読み込みを強行することは可能だが、X用に自動的に変換されたプロジェクトは完全に9そのままではない。オーディオトラックの扱いなどが意図せず変わっているケースがあった。すぐに元に戻せるが。 むしろこの件で困ったのは、Autoload設定していたテンプレートすら変換せずには読み込めないことだった。7割方は正しく読み込めたが、ウィンドウセッティングやAUXチャンネルのカスタマイズ、トランスポートエリアのカスタマイズはやり直しとなった。キーセッティングを除けば一番面倒くさい部分でもある。ここは読み込んでくれよ…。
○プラグイン音源の呼び出し方法に小変更あり
9までの「とにかくあるものは全部並べます」というプルダウンメニュー表示もやっかいだったが、XではAppleが勝手にカテゴライズした状態で並べてくれる。これはこれで…(笑)。単に慣れの問題。
○カスタムアイコンが引き継がれない
暁スタジオではそもそも音楽用システムはHDを分けることで独立性を保っていた。9にカスタムアイコンを追加するには、物理ドライブ直下のライブラリーフォルダ内にFinder上の操作で追加してやる必要があったが、X(10.3.1)ではトラック上のアイコン指定コマンドの中に「+」の追加コマンドが用意されている。要はLogicを起ち上げたまま収納場所を意識することなく追加していけるわけだ。どっちが楽かと言えば当然X。これは歓迎しても良いだろう。
○トラックカラーをカスタマイズできない
トラックカラーを選択するパレットが現れるのは9までといっしょだが、このパレット内のカラーはカスタマイズできない模様。この機能をオミットしたからって一体なにがどう良くなると言うのか。カスタマイズして使っていたので大変不便。
他にもアレンジメントウィンドウ右カラムのトラックウィンドウの中に表示されるプラグイン音源やエフェクトなどのボタンに複数の機能(I/Oやエディット画面切り替えなど)が追加された。どうも全体的にはグラフィック方面への負荷が増大した印象がある。トラックにインサートしたプラグインエフェクトを調整し終えてウィンドウを閉じようとしたら、やけにもっさりした反応速度だった。おいおい、箱形MacProにはもはや重荷ですか…。
2012年12月購入