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あるプレイリスト

自動車の運転中に音楽を聴くと新しい発見がある

· 音楽雑感

私は自動車を運転するのが好きだ。ただ運転したいがために半日ツーリングに度々出かけてしまう。2020年に病を得てから少し大人しくなったとは言え、年間で1万5千キロは走る(発病前は2万キロ以上走っていた)。音楽制作家を名乗っているが、では運転中は常に音楽を聴いているかというとそうでもない。しかも聴く時は基本的にちゃんぽんだ。1枚のアルバムを通して聴くという行為が滅多にない。

このちゃんぽん具合があまりに分裂症じみていて、かつて同乗者がいた時に「ファンクの次にアニソンが出てきたりするけど、驚かないでね」と、わざわざ告白してから走り出したほどだ。車中での送出装置は専らフラッシュプレイヤー、私の場合はiPod、あるいはiPhoneということになるが、そのプレイリストがどれほどちゃんぽんなのか、一例を示してみよう。43曲/再生時間は9時間51分だという。

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01.氷の世界(井上陽水/氷の世界)
02.Sidewinder(岩崎太整/血界戦線 オリジナル・サウンドトラック)
03.I TRE MERLI(Yellow Magic Orchestra/ONE MORE YMO)
04.日付変更線(南佳孝 & 大貫妙子/SOUTH OF THE BORDER)
05.Rock'n Roll Widow(山口百恵/mebius's game)
06.何の時間(マハラージャン/いいことがしたい)
07.Saudade(高中正義/Saudade)
08.そして神戸(前川 清/前川 清2004年全曲集)
09.Duty Friend(NIKIIE/CHROMATOGRAPHY)
10.常夜灯(南佳孝/SOUTH OF THE BORDER)
11.marinescape(a2c_takahashi/@1st)
12.Get Your Way(Jamie Cullum/Catching Tales)
13.ブルー・メロディー(南佳孝/SOUTH OF THE BORDER)
14.Overjoyed(スタンリー・クラーク & ハービー・ハンコック/Hideaway)
15.単純な作業(マハラージャン/いいことがしたい)
16.Yesterday Once More(The Carpenters/Carpenters Gold)
17.ALCOHOLLER(吉田美奈子/LIGHT'N UP)
18.Superstar(The Carpenters/Carpenters Gold)
19.PAPER DOLL(山下達郎/GO AHEAD!)
20.This Masquerade(The Carpenters/Carpenters Gold)
21.HIKARI(畠山直子/コントラスト)
22.Top Of The World(The Carpenters/Carpenters Gold)
23.Brazilian Love Affair(George Duke/A Brazilian Love Affair)
24.テクテクマミー(E.S.アイランド/シングル)
25.Hawaii E Ikitai(T-SQUARE AND FRIENDS/Refreshest)
26.Still BeBop(日野皓正/Daydream)
27.Air Glow(TPO/TPO1 - 25th Anniversary Edition)
28.噂の女(前川 清/前川 清2004年全曲集)
29.Almaz(島田歌穂/now and forever)
30.ONGAKU [Live](Yellow Magic Orchestra/GIJONYMO YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19 / 6 08)
31.P2C(Kaoru Watanabe,Masamitsu Suzuki,Akinori Hattori/Drone Sessions)
32.Porgy (I Loves You, Porgy)(Bill Evans Trio/Waltz For Debby)
33.A Punto De Confesar(坂本龍一/High Heels (Tacones Lejanos) Soundtrack)
34.QuietViewers(大門/裏本家大門巻之二)
35.Rainy Journey(畠山直子/コントラスト)
36.Silicon(Prince/The Slaughterhouse)
37.RESCUE [Live](Yellow Magic Orchestra/GIJONYMO YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19 / 6 08)
38.Savanna Noon(TPO/TPO1 - 25th Anniversary Edition)
39.SAYONARA(メアリー・マッグレガー/銀河鉄道999 シングルコレクション)
40.Shenandoah(Keith Jarrett/The Melody At Night, With You)
41.Siena(大貫妙子/pure acoustic)
42.Still(Macy Gray/On How Life Is)
43.神様のいうとおり(いしわたり淳治, 砂原良徳 & やくしまるえつこ/シングル)

南佳孝、カーペンターズなど、複数曲収録しているアーティストもいるが、これはたまたまこのプレイリストを作成した時分、研究対象として熱心に聴いていたからである。15>16>17の分裂具合や39>40>41の意図せぬしんみり攻撃は、見知らぬ土地の見知らぬ道路をひとり運転している時に聴いていると、特にグッとくる。

総じてこのようにコンテンポラリー音楽の中でも特に振り幅が激しい曲たちを連続で聴くと、様々な情緒や思わぬ作曲的、あるいは編曲的観点での気付きがある。それはクラブのフロアで夜な夜な踊っている人にはお馴染の感情かもしれない。「あの曲の次にこの曲??やられたー!」であろう。意外性はもちろん、あるキー(調性)からこのキーに跳躍するとこんな効果が!みたいなこともあるし、作られた背景も時期もまったく異なる2曲の歌詞に、なにか通底する情景や感情を見出してしまったりもする。そして普段このような聴き方ばかりしていて、ある時ふとアルバム1枚を通して聴き、新しい発見をすることもある。

つまり常に異なる視点から音楽に接することで初めてわかることがある、ということだ。それにお気に入りの1曲に、1枚に、永くフレッシュに接することもできる。この度当スタジオは新しいクルマを迎えることになったのだが、それは屋根の開くクルマで、とてもじゃないが前川清の次に島田歌穂を大音量で垂れ流しつつ走るわけにもいかず、このままではますます音楽を聴く時間が減ってしまうような気がする。