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新作の制作は順調…か?

世の中はすべて締め切りで動いている

· 音楽制作

日記というよりも月記の様相を呈している本ブログだが、自分のニューアルバムの作業は進んではいるのだ。進捗報告の意味でたまには書いてみよう。

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全10曲、完成して録音は終わった。ジャケット…というかパッケージ全体のデザイナーさんに音源を提示し、打合せの日を決めようか…というところまできた。のだが、完成したつもりになっていたある曲のあるパートにどうしても納得できない部分があり、録りなおしたりして。今さらリテイクかよ、と自分でも呆れている。

もうひとつ意外な点としては、アルバム制作の途中でDAWをアップデートしてしまった。Logic Pro 9からひとつ上のX(テン)へ。すでにLogicユーザー歴も長い筆者だが、9からXの音質変化の度合いはこれまでにないほどだと感じている。スペクトラムアナライザーで確認してもよくわからないが、明らかにハイーとローが強調されている。プラグイン音源主体で制作する音楽には向いている音質だが、ハードウェアシンセや電気ギター/ベースを含めた「オーディオインターフェイス経由で取り込む生の音」を処理するには、なかなかクセがある音質だとも言える。

本来アルバムという「まとめてナンボなプロジェクト」の途中で、出来上がりの音質が変わるようなアップデートは控えるべきだとは思う。そうではあるものの、「新しいのを早く使ってみたい!」という素直な欲求に勝てなかった(笑)。ただ今回のアルバムは長年録り溜めてきた音源の中からの選りすぐりという側面があり、制作年の振れ幅が実は大きい。Sound Cloudですでに発表した音源も数曲収録予定で、それなりの音楽的成長をリスナーの方にはお楽しみいただけるかと思う。

さてようやく全曲の体裁が整い、改めて並べて聴いてみて最初に思ったのは、「三つ子の魂百まで」という言葉であった。今回収録する曲の中でもっとも古い曲は2007年の作曲。最新は当然2017年で、なんと10年の幅がある。10年の間に自分の音楽的成長がゼロということはないのだが、コアにあるものはなんら変わっていないということも痛感する。自分が気持ちよいハーモニー、音のつながり、ビート、グルーヴ…。これらはもはや10年、20年程度の時間経過では変わらないのかもしれない。同時にそれはボキャブラリーが増えてないということと紙一重でもあるので、そこに安住するべきものではないが…。

まぁそんなことは作家側の事情である。リスナーは聴こえてくる音だけで判断してくだされば良い。 あとはもう1曲だけ残ったミックスダウンを経てマスタリングすれば、音は完成だ。デザイナーさんとの作業は、むしろ楽しい作業でもある。新作のタイトルは「琥珀(こはく)」。ぜひ手に取って、そして聴いていただきたい。

「琥珀」服部暁典

2018年3月31日発売